平成も終わろうとしているのに,仕事の仕方は進歩していない。30年前と同じくメールを確認して整理している。

メールは人間が読んで何をするか判断する。人間が読むものだから,読む相手のことを気遣う必要があり,失礼にならないように書くのに時間がかかる。丁寧なメールには,余計なことがたくさん書いてあり,読むのにも時間がかかる。

パスワード付き添付ファイル

添付ファイルはもっと厄介だ。添付を忘れたメールを出したり,受け取ったりすることが時々ある。容量が制限されていて,送れなかったり,届かなかったりする。テキストに変換され,複数のサーバを経由して送信されるため,簡単に盗み読みできる。暗号化する技術はあるが,ほとんど普及していない。中身を保護するために,たいてい「パスワードは次のメールで」と書いてあり,パスワード付きで送られてくる。「次のメール」も暗号化なしの平文なので,気休めに過ぎない。パスワードを入れるのは面倒だ。ウインドウを閉じてしまって,また開くときにまた聞かれるのも不便だ。

文書の共同編集

パスワードなしでも,添付ファイルは問題を引き起こす。皆で論文を作成したり,上司に企画書を見てもらうことはよくある。添付ファイルの応酬が繰り広げられる。中身のほとんど同じものが行ったり来たりする。図が多いと最悪だ。メール本文にいろいろと意見が書いてあり,WordやPowerPointの添付ファイルに修正がされている。両方を読んで古い版と比較しながら直すのは時間がかる。議論についていけない人がでてくる。

Excelファイルへの入力

時々,たくさんの添付付きメールが時々届く。依頼文書がPDFになっている。メールに書いてある以上の情報はほとんどない。どこを読んだらいいか分からない長いPDFのマニュアル,記入例。記入するファイルは,たいていExcelかWordだ。そらくコピペだ。時間をかけて準備された方には申し訳ないが,添付ファイルが3つ以上だとうんざりするので,後回しになって埋もれる。締め切り直前に慌てて対応すると,記入例のほうを送信してしまったりする。たくさんの人から受け取ったファイルは,ミスしやすいコピペで整理する。取りまとめた結果が確認のために送られてくることもある。

我々は時間を無駄にしていて,それを仕事だと勘違いしている。創造性はゼロだ。

長らくメールという道具に原因があると思い,チャット系のツールに切り替えようと試みた。余計な挨拶はなくなったが,問題の解決にはならなかった。無料だと検索や履歴,添付ファイルのサイズ制限があることや,さまざまなツールが乱立していること,メールのほうがやっぱりなじみがあるということもあるが,本質ではない。次から次へと入ってきては埋もれていくという点では,メールもチャットも差はない。

30年前と同じように,Word, Excel, PowerPoint, PDFをメールで送信して,整理したり,読んだり,直したりしている。いつまでこれを続けるのか。

仕事の進め方を変える道具はそろっている。コンテンツ管理システム(CMS)やクラウドサービスだ。

道具を変える以上に重要なのは,Word, Excel, PowerPoint, PDFを生産するのが仕事という意識を変えることだ。

クラウドサービスでも,自前でもよいが組織にはCMSが必要だ。必要な情報をあるべき場所に整理する。情報の更新はそこを直接編集する。認証・認可をして,権限に応じて,閲覧や編集ができるようにする。CMSが添付ファイルだらけでは,CMSの利点は半減する。CMSは多様な情報を管理できることが望ましい。

「いつまで30年前のまま?」への2件のフィードバック

2018年11月16日 11:40 AM

我々は時間を無駄にしていて,それを仕事だと勘違いしている。創造性はゼロだ。

https://en.wikipedia.org/wiki/Bullshit_Jobs

おもろいです。

takeshi

2018年11月17日 10:43 PM

今年発売された本のタイトルなんですね。ジョークではなさそう。仕事の意味まで考えてません。もう少しましにできるのではないかと思ったり,このまま変わらないだろうなとも思ったりします。